大場節子画集(2019)「すばるへ 雫は星形に降ってくる」新刊(株式会社 青幻舎)定価 4500円 |
「大場節子、日本を祖国とする画家:ひとつの視点」 私が彼女に最初に出会ったのは、 パリのアトリエ「グランド・ショミエール」であった。 彼女は、ハーフブーツから大きなひさしのついた帽子にいたるまで、 黒づくめの服装をしていた。 左足の腿は力強く後方に向けて開かれて、 大きな歴史(即ち、知性と混ざり合った物語)を支えていた。 その足はたった一本で歴史を進歩させ、 進歩を保ち、進歩させなくてはならないのだ。 それに対して右足は、 機敏な様子であると同時に西洋やその他の理性には盲目な様子で、 力強く前方へ投げ出されており、彼女が選んだモチーフ、 あるいはモチーフが選んだ彼女の不確定性に公然と立ち向かっていた。 シモーヌ.M・ジベール(仏語原文から一部抜粋翻訳) | |
大場節子画集(2013)「ラ、カンパネラ、すべては歓びに翔け」(株式会社 シングルカット)定価 4500円 |
大場節子画集 「ラ、カンパネラ、すべては歓びに翔け」に寄せて 重厚、かつ繊細な画に歴史の街が浮かび上がり、 現世の風が吹く。 どの絵にも季節と音楽と詩があり、 孤を生きる人がいる。 心底、圧倒され魅了された。 この画家の魂の旅路を、もっともっと辿ってみたい。 文・加藤タキ | |
大場節子小冊子(2011)「明日たゆめく世界へ」定価 500円 |
ああ、サンタマリーナの鐘が鳴るいつの時もこころに鐘は鳴るのです。ドイツのスイス国境近くで聞いた鐘の音も、 パリで聞くノートルダムも サンジェルマン・デ・プレの鐘の音も、 時を運び希望を運ぶ鐘でした。 「パリからの手紙」より抜粋 | |
大場節子画集(2010)「風の包みを解くときに」定価 3500円 |
大場さんの絵画の最大の魅力は シンコペートするリズムだ。 彼女の眼で捕らえられ、 切り取られた現実の何気ない一瞬は、 彼女の筆によって強拍と弱拍を微妙にずらされ、 線と色彩は甘く狂おしいダンスを始める。 そしてその瞬間、 画面は絶対的な「美」という尊い命を与えられる。 そうして創られた「美」は 我々観る者の時間軸をほんの少しだけ歪ませ、 踊らせてくれる。 文・葉加瀬太郎 | |
大場節子画集(2005)「旅、一波となって」定価 5500円 |
チチカカ湖に響く旅の中頃、女の子と出会った。チチカカ湖のはるか沖に浮かぶ太陽の島で、 湖に突き出た桟橋にぽ つんと座る小さな人影を見た。 帽子に三つ編み姿で近ずく私に怖れるふうもなく見入るその目、 その目に宿した言 い知れない神話に引き寄せられるように 私も砂浜にぺたんと腰を下ろした。 そこにはなに一つ身につけない無垢な幼 女の面持と、もうすでに すべてを知り尽くした老女のような面持が重なって見えた。 画面は動いた。 文・大場節子 | |
大場節子画集(2000)「インド大地に生きる」
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風に舞うインドにいて二ヶ月、その日カルカッタに向かって夜行列車で行こうとしていた。 列車には充分 な時間、 幌のついたリキシャーに乗って駅に向かった。 月がネーランジャラ川の上にあり、 辺りはもう夜の気配が 立ち込めどこまでも暗い野辺の道が続いた。 これから行く駅の様子も怖いが、 それでも私は飛び跳ねて消えて いく この景色から目を話すことができなかった。 旅のどの時も怖かった暗闇が美しい。 夜が夜だ、ランプブラック 。 この色が遠い時を連れてきた。 文・大場節子 | |
大場節子画集(1996)「ヨーロッパひとり歩き、また」定価 4500円 |
一瞬の美大場節子のアトリエには、通路といい、大小のタブローと水彩画が、 夥しい数ところ狭しと 並んでいた。 大きな画面はまだ未完成だが、 色彩に輝きとつやがあって美しい画肌を見せていた。 建設途上の ビルのように、むき出しの鉄骨が画面には感じられた。 それがかえって荒削りだが パワフルで勢いがあり、 魅力的だった。 文・篠原弘(「アートトップ」編集長) | |
大場節子画集(1993)「ヨーロッパひとり歩き」定価 4000円 |
アンダルシア地方を旅して私はどうしてもあなたに伝えたいことがあるのです。私は探していた黄色を見つけたのです。 列車の窓から走っても走っても、ひまわり畑が、そして麦畑が、 そして白い壁と朱い屋根に私は驚喜して しまいました。 もうこのまま終わってもよいと思いました。 ひまわりの畑の黄色、アマポーラの一面の赤、 黒い牛までが 風景のように美しく、鳥は終日麦畑の穂と戯れ、 私は何度見ても生まれてきてよかったと 思うのです。 文・大場節子 |
詩画集(1994)「ワキリリの国が生まれたよ」定価 3000円 |
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ワキリリの国が生まれたよワキリリの国が生まれたよ ワキリリの国は 足でなんか 歩かないんだ おやすみは ゼリーの中で ゆめがゆれても しらない あしたがはれても しらない 絵・おおかみの子リリアの会の子供たち 詩・大場節子 |
詩画集(1992)「おおかみ語の世界にいる子供たち」定価 3000円 |
企画 No.2 「とっておきの自分」より「絵具、めんどくせーな」って三回、君は小さくつぶやいた 心を動かすことにも疲れた君がいた わたしは、ぎゅっとしめつけられるように 疲れた心を抱きしめて泣いた お父さんもお母さんも、 君に良かれと思って 心をこめてやっていたんだ だけど、君の感性が 「ぼくの歩き方で歩きたいんだ」 って はっきり言い始めた 絵・おおかみの子リリアの会の子供たち 詩・大場節子 |